未来健康通信2025年1月号
【今月の特集】
『ナイトガードの効果』
過剰な力が歯を壊す?それは歯ぎしりのせいかもしれません。
歯が悪くなる原因といえば、虫歯と歯周病がまず頭に浮かびます。でもそれだけではないのです。歯に加わる過剰な力が、歯を傷めて壊してしまうことがあると知っていますか?
歯を痛める過剰な力には大きく分けて2種類あります。
▷ひとつは 歯ぎしりの強い力です。
歯ぎしりは眠っている時無意識に行うので、起きている時と違って力の加減ができず、とても強い力が歯にかかります。通常、眠っている間のほとんどの時間、上下の歯は接触しません。もし歯ぎしりが起きたとしても、1時間に5〜6回程度の短時間です。 しかし、歯ぎしりの力は強大で、そのうえ下顎をギリギリと左右にすり合わせ揺さぶるため、短時間であっても大きな為害(いがい)作用があります。被せ物を壊したり、時には天然歯をへし折ってしまうこともあります。
▷もうひとつが THC (Tooth Contacting Habit )と呼ばれる [上下の歯を無意識に接触させる癖]です。 歯は、食事をしたり重いものを持つ時などに一時的に噛む時以外、本来は上下に離れているものなのです。 しかし中には、歯を接触させる癖のある方がいて、その場合ごく弱い力が長時間加わることによって、顎関節症になったり、入れ歯や歯を傷めてしまうこともあります。
○過剰な力が歯を壊す
歯ぎしりなどが引き起こす歯への害に、[歯根破折]があります。
歯根破折とは、噛む力に耐えきれなくなった歯根が、縦に裂けるように割れてしまうことで、いわば歯の疲労骨折です。細菌だらけの口の中で、割れて汚染された歯を炎症が起きないように再利用することはとても困難で、ほとんどの場合抜歯になります。歯根破折を起こすリスクが最も高いのが、神経を取って治療している歯です。歯に栄養を送っていた神経が失われることにより、薪わりのようにパキッと割れやすくなってしまうのです。
また、歯周病の炎症によって減った、歯を支える骨に強い力が加わると、骨の破壊がさらに進み、歯周病の悪化が加速します。歯根破折も、歯周病の悪化も、ともに歯を失う大きな原因です。無意識のうちに加わっている歯ぎしり などの力は歯の寿命の大敵です。
○被害を減らすための対策とは?
今ある歯と被せ物を守る方法として、最も有効なのが夜間のナイトガードの装着です。ナイトガードをして眠ると、約9割の方は歯ぎしりが一旦止みます。 3週間ほどして装着に慣れるとまた始まりますが、ナイトガードが歯にかかる力を分散させ、歯の代わりに削れてくれます。素材は硬いレジン製なので穴が開きにくく、かみ合わせの調整もしやすいです。ほとんどの場合上あごに装着します。歯ぎしりを指摘される方や根の治療をした歯がある方は、ぜひ毎晩使ってみて下さい。
詳しく聞いてみたいという方は、気軽にスタッフに声をおかけ下さい。
【Drブログ】
Dr 岩波 洋一
『八五三』
先日、娘の七五三を記念して家族で写真撮影をしてきました。3歳の時にも同じスタジオで撮影していました。スタッフも当時の娘のことを覚えていてくれたようで、「大きくなったねぇ」と声をかけてくれました。有り難いのものですが、実は8歳6ヶ月になっておりまして・・。そう、昨年は長男の受験などもあり、皆で撮影する機会を逸していたのでした。ただ、何も撮らないのも将来娘に文句を言われそうなので、1年遅れの八五三となりました。7歳ではないからあまり意味がないのでは、と思いつつスタジオの方に聞いてみると、「意外とそういう方はいますよ」と仰っていただき安心しました。子供たちの成長を写真に記録として残せることはいいのですが、できた写真を見直すと自分は老けたなと実感し、少し切ない気持ちになりました。近い将来巣立っていくであろう子供たちの、この瞬間を愛しく感じながら、少しでも同じ時間を共有できたらと思いました。とはいえ、いざ現実はというと喧嘩の絶えない兄妹達なので、適度に自分一人の時間もやはり必要そうです。
【そこが聞きたい!Q&A】
今月の担当
Dr. ふじた ひびく
Q. 炭酸飲料は歯によくないの?
A. 虫歯とは別に、強い酸によって歯が溶けてしまうことがあります。これを酸蝕症(さんしょくしょう)といいます。
理科の授業で『酸性』『中性』『アルカリ性』という言葉を聞いたことがあるかと思います。歯が強い酸に晒されると、酸蝕症を引き起こす恐れがあります。
炭酸はわずかに酸性ですが、歯を溶かすほどの力は持っていません。炭酸水の原材料に『水、炭酸』のみが記載されているようであれば、酸蝕症や虫歯の心配はありません。
ただし、フレーバー付きの炭酸水には注意が必要です。風味付けに『香料』のみが使用されているのであれば問題ありませんが、『果汁』や『酸味料』等の記載があれば、酸性度が高いかもしれませんので、習慣的な飲料にすることはおすすめしません。
また、コーラなどの糖分を含んでいる飲料は、糖が虫歯の原因になりますので、だらだらと時間をかけて飲むことは控えましょう。