未来健康通信2024年9月号
【今月の特集】
「咀嚼と健康」
食べ物をよく噛んで味わうことを咀嚼(そしゃく)といいます。「よく噛むとからだによい」とよく耳にしますよね。ひと口30回噛むのが理想的ですが、回数を意識して食事をするのはなかなか大変です。実際みなさんはどの程度行なっているでしょうか?今回は、私たちの健康と咀嚼の関係について簡単にご説明します。
⚫︎咀嚼の最大の利点「肥満防止」
よく噛んで食べることは、生活習慣病の原因のひとつである肥満の予防になります。噛む回数を増やすことで、脳は少ない食事量でも満腹感を感じ、食欲を抑えられます。しかしながら、最近の食事はファーストフードなどやわらかい食べ物を好む傾向があります。さらに、食事にかける時間が短くなり、昔に比べると噛む回数が減ったと言われています。そこで、以下のポイントを意識して食事をしてみましょう。
・右で10回、左で10回、両方で10回噛んで食べる
・飲み込もうと思ったらあと10回噛む
・食べ物の形がなくなるまでよく噛む
・先の食べ物を飲み込んでから、次のものを口に入れる
・ひと口食べたら箸を置く
⚫︎噛みごたえのあるメニューをプラス
食材の選び方、料理の仕方を少し工夫するだけで自然とよく噛む習慣を身につけることができます。例えば、ごぼう・たけのこ・切り干し大根など食物繊維の多いものや、イカやタコなどの弾力性のあるものでも噛む回数は増えます。また、料理の際に食材を大きく切ることも工夫のひとつです。生野菜も噛みごたえがあるので、生野菜のサラダなどもオススメです。
よく噛まずに水分で流し込んでしまうと唾液の分泌量が減り、噛み砕けていない食べ物を消化するため、胃への負担が大きくなってしまいます。食べ物が口の中にある間は、スープや飲み物などの水分は控えるようにしましょう。
⚫︎よく噛むことの効果
噛む時に顎を開けたり閉じたりすることで顔などの骨や筋肉が動きます。これにより脳細胞の働きが活発になり、記憶力、集中力、判断力などがよくなります。さらに噛む動作によって顎や口まわりの筋肉を動かすことで、表情の豊かさやきれいな発音につながり、コミュニケーションの後押しになることが期待できます。
⚫︎噛むためのお口のケア
よく噛むことができる丈夫な歯を維持するには、毎日のセルフケアが不可欠です。特に歯垢のたまりやすい歯と歯の間や、奥歯の溝などは重点的に1本1本丁寧に磨くことが大切です。また、歯間ブラシやデンタルフロスも使って、歯と歯の間の汚れもきれいにするようにしましょう。
こまめにケアをしていても、いつの間にか虫歯や歯周病になっていることがあります。歯科医院で定期的なメンテナンスを受け、よく噛むためのお口のケアに努めましょう。
【Drブログ】
Dr 藤田 響
「音楽やドラマを鑑賞する日々」
蒸し暑い毎日が続いておりますが、僕の中で今最も熱いことといえば、音楽鑑賞とその周辺の情報収集活動です。何組か好きな音楽アーティストがいるのですが、たまたま今の時期にアルバム発売を発表しているアーティストが複数重なっています。SNS等ではそれぞれが、毎週のように新しい情報を小出しにしてくれるので、毎日飽きませんし、生活のささやかな楽しみです。
なかでも、以前からずっと好きな米津玄師さんがもうすぐアルバムを発売します。収録曲の一つは、間もなく公開される映画『ラストマイル』の主題歌です。この映画は、ドラマ『アンナチュラル』『MIU404』を製作した監督および脚本家が再びタッグを組み、ドラマの世界線を舞台に、新しく作られた物語となっているようです。『アンナチュラル』は当時2018年、リアルタイムでドラマを観ておりませんでしたし、『MIU404』も内容がうろ覚えですので、今は2作品を映画公開までに予習復習しているところです。どちらのドラマも毎回衝撃的な展開が起き、驚き叫んだり、泣いてしまったりと楽しく観ています。
他にも、秋田に足を運んできてくれるアーティストがいて、今度そのライブを観に行ってきます。複数アーティストが合同で行うライブイベントで、今は詳しくないバンドも出演しますが、新しいバンドや曲を知ることができるいい機会なのでとても楽しみです。
【そこが聞きたい!Q&A】
今月の担当
Dr. やまだ まい
Q. 喫煙は歯に悪いのか?
A. 喫煙は歯周病最大の危険因子です。たばこの煙には「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」という3大有害物質が合まれています。がんや呼吸器疾患のリスクが高まることは知られていますが、たばこの煙が最初にふれる口の中も、有害物質の影響を受けます。
歯周病は細菌によって引き起こされます。喫煙していると歯肉や口の粘膜から吸収されるニコチンなどが免疫細胞の正常な機能を奪うため、歯周病菌が侵入しやすくなります。同じ理由で傷を治す細胞や骨を造る細胞の働きも鈍るので、歯周病の治療を進めても治りが悪く、時間もかかります。注意すべきなのは喫煙による歯周病は、歯肉の赤みや腫れが目立たないということ。これはニコチンが血管を収縮し、歯ぐきの血流量を減少させるためで、これが「私は歯ぐきから血が出ないから大丈夫。歯周病になっていない。」と勘違いさせてしまうのです。
いくつかの調査結果から、喫煙本数が多ければ多いほど歯周病になりやすいということがわかっています。禁煙するのは簡単ではありませんが、禁煙外来のある病院を受診したりニコチンパッチや禁煙ガムなどを利用して、禁煙に挑戦してみましょう。禁煙すれば歯周病だけでなく、がん、脳卒中、心臓病など、多くの病気のリスクも下がります。