金木犀を香ってきました。
秋になると思い出す話です。大学に進学した年の、仙台での暮らしにも慣れてきた10月頃のことです。外出していたとき、ふと、町中をふんわり甘く包む香りがあることに気が付きました。香りのもとをたどると、そこにはオレンジ色の可愛らしい花をつけた木がありました。こんなにいい香りがする木があるのか!と思い、大学の友人に尋ねると、「金木犀じゃない?」「秋といえば金木犀の匂いだと思うよ」と、みんな当然のように知っているようでした。
僕が無関心なだけ?と思い、秋田に帰省した時に、秋田の友人に金木犀を知っているか尋ねたところ、「知らない」「聞いたことあるけど見たことない」と、金木犀の香りを知っている友人はほとんどいませんでした。気になって調べたところ、寒冷地では金木犀は育たないらしく、秋田・岩手の県南が金木犀が育つことのできる北限ということが分かりました。どうりで秋田で過ごしてきた18年間、金木犀の香りを知らなかったわけです。
また、歯科検診の実習で宮城県のとある小学校を訪れたとき、校長先生と教授の間に「ほぉ、銀木犀ですか」という会話がありました。銀もあるの!?と思って目をやると白くて可愛い花をつけた木がありました。銀木犀は、金木犀と比べて香りはひかえめで、上品な印象がありました。こうして木犀属のとりこになった僕は、芳香剤や紅茶の販売店に行くたび、金木犀の香りがないか気にして探すようになりました。
先日、セリオンリスタで温室栽培されている金木犀が開花したようです。早速、車で香りに向かうと、駐車場に停めてすぐに金木犀の香りが漂ってきました。セリオンリスタにはヒイラギモクセイという品種の木もあるようで、また新しい仲間に出会うことができました。大学時代を思い出す、金木犀のお話でした。