未来健康通信2023年4月号
【今月の特集】
「歯周病と認知症」
お口の病気である歯周病。実は全身の健康にも影響することはご存知でしょうか?
歯周病が関与すると考えられている病気は、糖尿病・動脈硬化・脳梗塞などいくつもありますが、今回は、歯周病と「アルツハイマー型認知症」の関係性について解説します。
歯周病は、歯周病菌が引き起こす感染症です。
歯のすき間や歯周ポケットのプラークにひそむ歯周病菌が、歯ぐきに炎症を起こすことはよく知られていますよね。
長いあいだ歯周ポケットの中に溜まったプラークや歯石を掃除しないと、歯周病菌にとって居心地のいいすみ家になってしまいます。
なかでも、「ポルフィロモナス ジンジバーリス(Pg菌)」という歯周病菌は、アルツハイマー型認知症と関わりが深いことがわかっています。
●Pg菌とは?
Pg菌は、「鉄」をエサにしている歯周病菌です。私たちのからだの中で「鉄」は赤血球のヘモグロビンにあります。
すなわち、この細菌は腫れた歯茎からの浸出液や血液や、深くなった歯周ポケットの中が大好物なのです。
単体ではそれほど強い菌ではありませんが、お口の中の汚れが歯垢となりバイオフィルムが形成されると、強い歯周病を引き起こす原因となってしまいます。
●なぜ歯周病菌は脳にまで悪さができる?
アルツハイマー症型認知症の原因物質は「老人斑アミロイドβ(以下アミロイドβ)」と考えられています。
近年の研究で、Pg菌がアミロイドβを脳内へと誘導していることが明らかになりました。
Pg菌が歯周病の炎症でできた歯茎の粘膜の破れ目を入り口にして、歯茎の中、そしてからだに入り込みます。
Pg菌が歯ぐきにたくさん入り込むと、免疫細胞は必死に戦いますが、多勢に無勢で取り逃してしまいます。
そうして厳しい関門をすり抜けてきたPg菌の作用によって、アミロイドβが脳内に入り込み、長い時間をかけて蓄積されます。
徐々に神経細胞を傷つけ脳を萎縮させ、アルツハイマー型認知症を引き起こすと考えられています。
つまり、Pg菌は、歯ぐきの粘膜を壊して侵入し、アミロイドβを増産させて脳内へ輸送する役割も果たしていることになります。
●歯周病を予防し認知症のリスクを下げよう!
噛む動作は脳の機能を活性化させます。
歯周病が進行し歯を失ってしまうと、食べ物が噛めなくなるだけではなく、認知機能を低下させてしまう可能性があります。
歯周病を予防するためにも、歯科医院での定期的なメインテナンスを受けましょう。
そして、歯石を除去し、歯周ポケットの中までプロフェッショナルクリーニングできれいにしてもらいましょう。
歯周病を予防し、お口の中を健康に保つことは、全身疾患のリスクを下げることにもつながります。
【Drブログ】
Dr 岩波 洋一
「体の不調を追い払え」
仕事柄なのか普段の姿勢が原因なのか、ここ数か月腰痛に悩まされています。
2年前くらいにも、首、肩凝りと右腕にしびれが生じたことがありました。
MRIで精密検査を行った結果、頸椎ヘルニアになっており、仕事中頭に装着する拡大鏡を軽量なものに変えることにより、寛解してきました。
治療中の姿勢がどうしても前傾姿勢になりがちで、かつ頭に重りをのせているようなものなので負担になっていたようです。
ですが安心したのも束の間、今度は腰痛で苦労しています。急性期には骨盤コルセットを装着したり、塗り薬を塗ったりしています。
ラジオ体操やジョギングなどで生活改善を試みていますが、鈍痛が常にあります。
40代半ばを過ぎてからというもの、老眼、肩コリ、腰痛と徐々に無理が利かない体になっていることを実感します。
スタッフにおすすめの運動グッズを尋ねたり、何かいい方法がないかと模索している毎日です。
まだまだ改善できる範囲内だと思うので、日々の姿勢や食事を見直したり、より強度の高い運動を生活に取り入れたり、前向きに生活していきたいと思います。体が資本ですから、労わっていきたいものです。
【そこが聞きたい!Q&A】
今月の担当
Dr. ふじた ひびく
Q. C1,C2とはどういう意味?
A. Cは虫歯(Caries)の頭文字です。
虫歯の進行度を以下の5段階で示しています。
CO:Oは観察(Observation)の頭文字で、虫歯の初期段階です。
しっかりしたケアと観察により虫歯の進行を止められ、元の状態に戻ることもあります。
C1:歯の一番外側のエナメル質内に留まる虫歯です。
削って治療するかどうかは、口腔内の清掃状態や歯の状態を踏まえ、歯科医師が判断します。
C2:エナメル質の内側の象牙質に達した虫歯です。
冷たいものがしみることがあります。虫歯の大きさにより、歯を削ったところに材料を詰める治療や型を取ってかぶせる治療をします。
C3:象牙質の内側の歯の神経まで達した虫歯です。
強く痛む場合が多いです。歯を削り神経を取り除く根管治療が必要です。
C4:根の部分だけが残った状態の虫歯です。
根の先端に膿がたまった状態(根尖病変)になると歯茎が腫れて激しく痛みます。
抜歯となる場合が多いです。
虫歯の早期発見には、定期的に歯科医院でチェックを受けることが大切です。
お口の中に異常を感じる場合は、早めの受診をおすすめします。