未来健康通信2022年9月号
【今月の特集】
「過剰な力から歯を守ろう!」
♢歯を痛める過剰な力について
これには大きく分けて2種類があります。
ひとつ目は、《歯ぎしりによる強い力》です。
眠っている間のほとんどの時間、上下の歯は接触しません。もし歯ぎしりが起こったとしても、1時間に5〜6回程度で短時間ですが、無意識なためとても強い力が歯にかかります。それにより歯のかぶせ物を壊したり、噛む力に耐えきれなくなった歯根が縦に裂けるように割れてしまう「歯根破折」が起こることがあります。歯根破折は、いわば歯の疲労骨折です。特に歯の中の神経を取って弱くなっている歯に起きやすく、歯の根の治療をした歯が多い方は注意が必要です。また、歯の本数が減りはじめる中高年層は歯根破折のリスク世代です。本数の減った歯に集中して力がかかるうえ、歯自体の経年劣化も加わって、歯根破折が起こりやすくなるのです。
ふたつ目は、《上下の歯を無意識に接触させる癖》です。
歯は、食事をしたり重いものを持つときなどに一時的に噛む時以外、本来は離れているものなのですが、中には歯を接触させる癖のある方がいます。仕事中や家事をしている時など、気づくと上下の歯がくっついて噛み締めている、ということはありませんか?ごく弱い力が長時間加わることによって、顎関節症になったり、歯や入れ歯を痛めてしまうこともあります。
昼間なら、この癖に気付きさえすれば改善は可能です。また、夜中の歯ぎしりは良い睡眠を取れば、ある程度はコントロールできる可能性もあります。しかし、残念ながらそれですべてが解決するわけではありません。
歯に過剰な力をかけないようにする患者さんの努力に加えて、我々歯科医院が提供する「歯への被害を減らす方法」で大切な歯を守りましょう。
♢マウスピースの有効性
今ある歯とかぶせ物を守る方法として、もっとも有効なのが夜間のマウスピースの装着です。マウスピースが歯にかかる力を分散させ、歯の代わりに削れてくれます。歯ぎしり用のマウスピースは、硬いレジン製がおすすめです。硬いレジンは穴が開きにくく、削れても修理が容易で噛み合わせの調整もしやすい材料です。毎晩お使いいただくことをおすすめしています。健康保険で作ることが可能ですので、ご希望の方はぜひご相談ください。
【Drブログ】
Dr 藤田 響
「還暦祝いをしてきました。」
先日、大人の歯科健診をきっかけに来院された患者さんから、感謝の言葉を頂きました。「歯医者が怖くて子供の頃にかかったきりだったが、先生やスタッフが優しく応対してくれたおかげで治療も苦ではなかった、歯医者のイメージが変わった」と仰ってくださいました。私も大変嬉しく、診療の励みになりました。ありがとうございました。
話は変わり、先日、父親の還暦祝いとして割烹料理のお店で懐石料理を頂きました。秋田産の野菜や魚を使用した見た目も綺麗な料理はとても美味しく、数口で食べきれてしまう量なのがもったいなく思えるほどでした。器にも凝っているようで、特に花火と竿灯が描かれたお椀が素敵でした。途中、父親へお花とお祝いの品を渡しました。喜んで受け取ってもらうと同時に「いやー、もう還暦かあ」と、感慨深そうにしていました。
私にとって子供の頃の怖いものといえば、歯医者ではなく父親でしたが、最近は性格もまるくなり、話しやすく良好な関係を築いています。この度は還暦おめでとうございます。頼れるお父さんです。身体に気を遣って、これからも健康で長生きしてください。
【そこが聞きたい!Q&A】
今月の担当
Dr.やまだ まい
Q.「歯並びが悪いと虫歯になりやすい?」
A.歯が重なっている部分は歯ブラシの毛先が入りにくいため、ひと工夫加えて磨かないと磨き残しが出てしまいます。そのため虫歯になりやすい傾向があるといえます。その点を自覚し、しっかりと時間をかけ、磨き残しがないようにいくつかの口腔ケア用品を用いてお手入れすることが大切です。口の中の状態や歯並びは1人1人異なりますから、自分の歯並びをよく理解しどこに汚れが残りやすいのかを知り、それに合った口腔ケアを実践することが重要です。港町歯科クリニックでは、歯科衛生士や歯科医師が皆さんそれぞれのお口に合った正しい歯磨き方法をお伝えしていますので、ぜひ実施してみてください。また定期的に歯科医院で虫歯になっていないかをチェックしましょう。