日本の歯科医師ってどうなるの?
新年度を迎えて、1カ月となりました。皆様お元気でお過ごしのことと思います。
当クリニックでも、新卒の若手スタッフを迎えて、新体制となりました。歯科の場合、歯科医師の他に、歯科衛生士、歯科技工士と国家資格の職業があります。
さて、ここで問題です。
日本に歯学部・歯科大学は、全部でいくつあるでしょうか?
1960年は、7校しかありませんでした。折しも、団塊の世代が子どものころだったでしょうか、虫歯が多発し、歯科医師不足が顕著となり、国が主導して、歯学部の新設を推進し、1965年までに6校が新たに創られました。
その後も、ほぼ無計画的で、節操もなく、歯学部がどんどん新設され、1980年台前半までに16 校が創られたのです。さすがに、その頃になると国も、歯科医師が増えすぎることに気づき新設ラッシュは、終止符を打ったのです。
つまり、わが国の歯学部数の正解は、29校です。
最近は、歯科医師過剰問題といわれるようになり、
・歯科医師が多すぎて、受診患者数の減少
・医科に比べて、著しい保険点数の引き下げ=歯科たたき
・全国的に歯科医院間での競争が激化
それに伴って経営状態が年々悪化さらには、廃業(倒産)せざるを得ない歯科医院も増え、特に東京都内では1日1軒のペースで廃院に至っているとか。
「こんな国家的な詐欺のような事態を招いた責任者は誰だ?!」と声をあげる人もいますが、国は、このような歴史的な大失敗があっても、誰も責任をとってくれません。
また、創ってしまった歯学部を簡単に潰すわけにも行かず、国公立大学の定員削減をいくらかはやっているものの、あまり効果はなく、現在は、国家試験の合格率を下げて、新規の歯科医師を減らすという作戦のもよう。
歯科医師国家試験合格者数の手元資料を見ると、2001年(平成13年)合格者3,125人、合格率90・7%でしたが、今年は、3,049人も受験したのに、合格者は1,983人、合格率は、65・0%と大幅に下げて、ざっと1,000人(毎年)の歯科医師を減らすことに成功したのです。
ちなみに、6年間(か、それ以上)のお勉強をしても、国家試験に受からず約1,000人が浪人となってしまうという結末です。わが国の歯科医師の将来は、どうなるのやら…。
さて、いよいよ緑が鮮やかな木々の美しい時季となります。診療やお口のクリーニングに来院されるには、絶好の頃合いです。
当クリニックも、皆様のご健康を守るために研鑽を重ね、ご来院をお待ちしております。