二十年という歳月に思う
港町歯科クリニックは、先月をもちまして移転(1996年)後、20年という節目を迎えることができました。
近くのマンション内で開業したのが1988年のこと。
現在地には、映画館があって、その後は、更地となっておりました。
その後、ある時、マンションの建築計画があり、住民説明会が開催されるチラシが届いたのです。ところが、折も折、バブルが崩壊し数年経っていたため、景気の良い話しは、そこでパタリと消え去り、結局、ここは空き地のままでした。
そして、開業から8年後の1996年を迎えました。
おそらく、不良債権となっていたその土地は、大手のデベロッパーの所有地となっており、めぐりめぐって、運良く私が手に入れることができたのでした。
人生の時間でこの20年というのは、濃厚で、激動でした。
幼かった子どもたちと過ごした楽しい時間は瞬く間に過ぎ去り、彼女たちは、成人になってしまいました。
父は死に、2006年には、私を根っこの治療の専門分野に導いてくれた東京渋谷の恩師が…。同年の初冬には、高校の恩師が不慮の事故で、亡くなりました。
数年の間で、他にも勤務した診療所の恩師や先輩も立て続けにご逝去。この頃は、心の支えを喪ってしまい、すっかり疲弊し、心身のボトムとなっていたような気がします。
しかし、そんな出来事があっても、人間不思議なもので、物事は考えよう!ポジティブな状況だけを見ると、幸せなものです。
例えば、診療所を拡張したり、歯科用実体顕微鏡を導入し、より充実した診療を実現して参りました。
2011年の大震災だって、運良く被害は何もなく、生き延びています。
いずれにしても、人が生きていくにあたり、誰も私(あなた)の代わりに生きることはできないし、代わりに愛することも苦しむこともできやしません。
どんな幸福も、手に入れるには幸運が必要ですが、その運だけでも足りはしません。
望ましいことは、「控え目な幸福とわずかな不幸を手にすること」で、これならば、自分の考え方次第で得られるものなのです。
5段階の欲求階層というマズローが発表した有名な説があります。
彼は晩年、さらにもう一つの段階があると発表しました。
それは「自己超越」という段階。
目的の遂行・達成『だけ』を純粋に求めるという領域で、見返りも求めずエゴもなく、自我を忘れてただ目的のみに没頭し、何かの課題や使命、職業や大切な仕事に貢献している状態だといいます。
これから、残りの歯科診療人生をそのような境地で過ごしたいものです。
いよいよ暑い夏がやってきました。
くれぐれも熱中症にならないように、お身体をご自愛していただき、お気をつけてお口の定期的なクリーニングにお越しください。