娘と薬

先日2歳の娘の通う保育園から高熱と身体に発疹が出ているという連絡がありました。病院での、診察の結果は「溶連菌かもしれない。検査しましょう」という思いがけない答えでした。
溶連菌感染症は溶連菌という細菌が原因となり、のどの痛みや熱、手足に発疹を引き起こします。きちんと薬を服用して治さないと再発し、リウマチ熱や腎炎を引き起こす恐れのある厄介な病気だそうです。一見、怖い病気に聞こえますが、先生曰く、「抗生物質がすごく良く効く病気。きちんと薬を飲めば大丈夫」とのこと。普通ならホッとするところですが、私はエッ…と固まってしまいました。
なぜなら娘は全く薬を飲んでくれないのです。以前軽い中耳炎になった時も薬を、全く飲まないがために、入院するはめになったくらいです。先生に相談するものの、答えは「薬でしっかり治すしかありません。とりあえずは検査結果待ちですが、念のため溶連菌にも効く抗生物質も入れて薬を出します。溶連菌でないと分かればその後は出しませんのでまずは結果が出るまで飲ませて下さい。もちろん溶連菌であればその後も追加で飲んでいただきます」とのことでした。
…というわけで、１日3回×２日分の計6回。娘との攻防が繰り広げられることになったのです。薬は私も実際に味見しましたが、後味も悪くなく、ほんのりイチゴ味の飲みやすいものでした。しかし、それでもすんなり飲んでくれないのは分かりきっています。私の試飲の結果、一番味が隠れるのがグレープジュースでした。コップに注ぎ、薬を混ぜておやつを食べているときに渡してみましたが、なぜかコップを見つめ「いらない」の一言。見えるからかな？と思い、それじゃあ、といつも使っている水筒に入れて渡すも、一口飲むと「いらない。お茶下さい」と言う始末。喉が渇けば飲んでくれるかな？と喉の渇きそうなおやつをあげましたが、頑なに「お茶下さい」の一点張りでした。
くじけそうになりましたが、万が一溶連菌であれば今後も飲ませないといけまけん。どうにか飲んでくれる方法を探さないと！と次の手段を講じます。次は大好きなアイスクリームの中に挟む作戦です。しかし、これもいつもならアーンと口をあけてくれるのに、今回はスプーンを見つめ「いらない」と…。仕方ない、と少量の水分で薬を練って丸め、娘の口の中にヒョイッと入れる半ば強引な作戦に出ましたが、一度入れ損なってしまい、今度は警戒して口すら開けてくれなくなってしまいました。
そこで次の作戦です。さりげなく娘に飲み物を渡し、自分で開けて飲んでもらう作戦です。開封から自分でやるので私の手は加わっていないと思ってくれるはず、と考え、娘に冷蔵庫から取ってくる姿を、見せつつパックのジュースを渡します。実はこれ、上の方から薬を混入し、セロハンテープで再度くっつけたものです。最近、自分でストローをさせるようになった娘は疑うことなく、いつも通りにストローをさして飲み始めました。内心はドキドキしながらも警戒されないよう遠くで見守っていました。しばらくして、ジュースを回収にいくと…中身は空っぽ！ヤッター!!!と心の中ではガッツポーズです！
後日、溶連菌でないことが判明して、薬の服用は２日で終了となりました。大変な２日間でしたが、なんとか薬を飲ませることができ、ホッとしました。これからの風邪の季節、薬を飲まなくてすむよう、予防のためのうがい、手洗いを頑張ろうと決意する今日この頃です。（ナ）