歯科医と歯科医院の品格

　数ヶ月前に、東京都内のある歯科医師が、自らの歯科医院のスタッフに対するセクシャルハラスメント容疑で逮捕された事件が報道されました。院長の立場を利用し、スタッフを貶めるという、卑怯で下品な行為としか言いようがありません。人間と動物を区別するはずの理性の欠落した行動であり、「歯科医の品格」を汚す行為に、一歯科医師として、怒りを覚えました。もちろん、当クリニックでは、開業以来、そのようなセクハラは、断じてないことを明言いたします。
　さて、当クリニックでは、「歯科医院の品格」を創りあげるための研修を行っております。そのスタートは、礼儀正しさ。来院していただいた皆様の歯科疾患に悩む立場に立って、接遇やコミュニケーションを正すという意味での礼儀正しさであり、単なるおもてなしとしての接客態度を改めるという軽薄なことではありません。具体的には、言葉遣い、身だしなみ、お辞儀の仕方など詳細にわたっております。講師は、小笠原礼法の師範の先生です。そして、それが表面的なものに終わらないためには、私たちが、教養を身につけたり、芸術に親しんだり、歯科の専門的なことだけに限らず、幅広く知識と感性を磨くことが重要であると考えています。
　この研修が1年間12回を数え、いったんワンクールの区切りを迎えました。当クリニックのホームページに、スタッフからの診療日誌というのがあります。嬉しいことに、そこには、その研修の成果として、スタッフ自身が仕事から離れていても、日々、診療サービスの向上や品格レベルアップを意識した行動をしている報告が、随所に見られます。
　次のクールは、「教養と品格にあふれた歯科医院を目指す」というプログラムのもとで、再開します。もちろん、忘れていたことを思い出すことや新規採用者研修ために、基本練習は繰り返し行います。「しょせん歯科医院のスタッフなんだからしかたない」とか、「すばらしい応対だ！歯科医院のスタッフになんかにしておくのはもったいない」などと言われないように、「さすが港町歯科クリニックのスタッフをやっているだけあって、動きに気品があるね！」と賛辞をいただけるようなレベルを目指し、当クリニックの全員が一丸となり取り組み、それが、最終的には、来院した皆様の健康を守るために、きっと、大きなプラスとなることと確信しております。