趣味してますか?
趣味というのは、どういうことなのだろうか?ずーっと以前から、何となく疑問に思っていたことの一つでした。そこに、そのものズバリと「無趣味のすすめ」というタイトルの本が手に入った。著者は、村上龍さんで、大学に入った頃、芥川賞受賞作「限りなく透明に近いブルー」という当時としては、かなりセンセーショナルな内容の小説に驚いた記憶があります。その本からの引用をしながら、書いてみます。
写真、園芸、釣り、カラオケ、山歩き、ゴルフなどの定番から、あらゆるジャンルの情報が世の中にあふれています。さらに、趣味探しまでも、花盛りといえるでしょう。そもそも、趣味という言葉は、どういう意味なのかを広辞苑で引いてみると、「?専門家としてではなく、楽しみとしてする事柄。趣味にピアノを弾く」という項目が該当するでしょう。英語では、「hobby:ホビー」。それは、私の知る定義では、ある分野で専門家(プロ)に近いほどに一生懸命取り組んで究めて、しかし、仕事ではなく、金銭のやりとりがない(アマチュア)、となっています。ただ単に、余暇や自由時間に好んで習慣的にするだけの事柄ならば、趣味とまでは言えないじゃないかな?という感覚です。
そうすると、私には、趣味がありません。息抜きとして、旅行に行ったり、ワインをたしなんだり、冬はスキーをしたりしますが、どれも趣味と言えるレベルではありません。それは、人それぞれのとらえ方なので、たくさんのことを趣味としている方もいるでしょうし、それは、その通りで良いと思います。私にしてみると、何かいい趣味がないかなあと漠然と思いをめぐらせることがあるのですが、どうも、肌に違和感を覚えてしまうのです。
どうしてなのだろうかと思っていたら、明確な答えを出してくれた文章がこれです。「趣味の世界には、自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。心を震わせ、精神をエキスパンドするような、失意も歓喜も興奮もない。」それに対して、「真の達成感や充実感は、多大なコストと危機感を伴った作業の中にあり、常に失意や絶望と隣り合わせに存在している。」私にとって、それが、仕事だと言えるでしょう。ある意味、編集ややり直しの可能な録画とその1回が勝負の生放送やライブとの違いのようなものかも知れません。
私たちの歯科医療の現場は、そういう点から見ても、真剣勝負であり、やりがいのある仕事です。今はまだ、仕事にひとすじの診療人生ですが、いつの日か、何かしらの趣味に没頭できる趣味の良い(?)お年寄りになることを夢みて、まだまだ、皆様の健康を歯科の面からサポートしていきますので、当クリニックをご支援ください。