追記：秋田への帰還

　上記の作並温泉ツアーの顛末です。15時過ぎに盛岡駅に下ろされ、新幹線の改札付近には、多数のイスが準備され、「どうぞこちらで、長らくお待ち下さい」というメッセージが見てとれた。
私たちは、一行一カ所に集合し席をとり、私と担当者で状況把握に努めた。
　駅員さんから情報をうかがうと、JRは全て運休し、まさに、盛岡駅は、孤立した状況でした。そこで、考えられる手として、道路を利用した交通手段でした。JRの状況確認と同時に素早く、TEL帳を手にし、バス会社とタクシー会社に問い合わせをしました。連休最終日ということで、バスは出尽くしており、タクシーは、返信待ちとなりました。そして、タクシー会社からの返信。どうにかジャンボタクシーを3台手配できる、そして、道路状況は、現時点では通行可能である、とのこと。瞬時の判断で、そのタクシーの手配を決定。16時30分頃、ジャンボタクシーに25名が乗り込み、帰路につきました。ところが道中のすごいことすごいこと。盛岡市内の脱出に通った道路脇のグランドは、サッカーゴールが半分以上みずびたしとなっていた。雫石、仙岩峠を抜け、水浸しの道を激走でした。桜で有名な角館の桧内川は、増水し、いまにも橋の直下まで水が迫っていました。協和町をどうにか切り抜け、秋田駅に着いたのが、ほぼ19時ちょうど。振り返ってみると、2時間30分の決死の帰還でした。
　しかし、ここで心残りのことがひとつ。仙台で少し居残り、遅いこまち便での帰宅を選択した2名のスタッフが仙台と盛岡に取り残されてしまっていたのです。私たちのひとつ前の新幹線こまち号は、雫石でストップしており、うわさでは、17時頃に乗客を乗せたバスが出発したが、道路の浸水により、スリップ事故を起こし、引き返したとのこと。そのバスも、また、家族により盛岡にお迎えに来られた方も、18時頃には最終的に盛岡〜秋田線の道路も閉鎖となり、南下して北上市方面回りを余儀なくされ、しかも、高速道路の秋田自動車道も、所々閉鎖となっており、結局、秋田市内への到着は、夜中の1時過ぎだったとか。1名のスタッフがそのパターン。もう1名は、仙台で宿泊、次の日の夜に、家族のお迎えでようやく帰宅となったのでした。2人とは、何度も、携帯TELにて連絡をとっていたものの、本当に心配でした。
　たぶん、あの日、新幹線こまち号を盛岡で下りた乗客の中で、一番早く秋田に着いたのは、私たち一行だったのではないでしょうか？おかげで、次の日、来院した患者さんにご迷惑をかけることなく、何ごともなかったように、診療をスタートすることができたのでした。
　振り返ってみると、実に危険な行程だったと思い、万一のことがあったならとぞっとします。帰路、道路パトロール車と数台すれ違いました。きっと、その直後、道路（国道17号線）は、閉鎖になったのでしょう。それにしても、これも、地球温暖化のなせる仕業ではないでしょうか！従来通りの道路パトロールでは、間に合わないほどの急ピッチで、豪雨が降り注ぐ現象を引き起こしているのではないでしょうか。
　ちなみに、JRの払い戻しがたくさんあったため、タクシーの負担は、最小限の費用ですみました。そして、この後、タクシーの運転手さんは、横手〜北上経由で盛岡にお帰りなったようです。本当にご苦労さまでした。そして、ありがとうございました。
　最後の最後の数時間で、こんなドラマがあったのでした。やっぱり、ライブで生きている瞬間には、何が起こるかわからない。それが楽しくもあり、1回制の人生のすばらしさでもあるのでしょう。

以上が、作並温泉ツアーの最終報告です。