実践インプラント勉強会
私の診療所では、インプラントを始めてから12年となった。それなりの臨床経験をこなし、かなり熟達した腕と自負している。最近では、抜歯後即時埋入インプラントという最先端のインプラント治療法を取り入れ、スピーディで良好な成果が得られてきた。しかし、一方では、かなり骨の薄い難症例に遭遇し、いったん骨を造成する処置をし、骨が安定するまで数ヶ月待ってインプラントを埋めるといった、より安全な治療方法も選択して行っている。
インプラントについては、大学での教育がまったくなかったので、歯科医師
は大学卒業後、かなりの勉強をしないと、皆様にインプラント治療を安全に提
供することができない。そのため日本全国的には、さまざまな学会や勉強会が
あるが、秋田には、昭和54年(1979年)に発足した、秋田インプラント臨床研
究会というスタディグループがある。27年という歴史のある会である。私も、
秋田で開業して以来、18年その会に在籍しており、長年専務を務め、副会長と
なり、本年より会長になってしまった。優れた諸先輩の後を継ぎ、会長職につ
くことになったため、どうしたらいいものか思案した。
これからの展開にとって、どうしても必要なのが、秋田大学医学部歯科口腔
外科の協力であった。3年前、徳島大学から宮本教授が赴任なさり、インプラ
ント治療については、従来より格段の充実化がなされた。宮本教授と何度かお
話をして、秋田の地域医療に貢献するためにインプラントの普及を、というこ
とも、お互いに意識していることであった。そこで、大学のご協力をいただ
き、今年9月より、「実践インプラント勉強会」を行うことにした。それは、
年間のプログラムをたてて、平日毎月1回、診療後の午後8時より10時までの勉
強会と症例検討会を行うことを基本とし、それ以外に月によっては、開催日を
日曜日に振り替えて、実習などを交えた1日コースも行うというやりかたであ
る。
9月に第1回目を開催し、11月で3回まで行うことができた。これは、秋田大
学口腔外科の宮本教授と医局の先生方の絶大なるご協力なくして、できること
ではないと思い、心から感謝をしている。また、本会は、「実践インプラント
勉強会」のおかげで、15人の新たなメンバーを加え、69名の大所帯となった。
きっと、1年2年とこの勉強会へ継続的に参加することで、会員のインプラント
の基礎知識と実際の腕前は、秋田県民に安全で安心のインプラント治療を実践
できるようになること間違いないのである。
さて、12月は、「インプラントのための解剖学」を徳島大学の北村教授をお
招きして行う予定である。そして、1月2月は実習を含んだインプラント実践
1日コースである。心を引き締めて、本会の会務に向かう決意を新たにしてい
るこの頃である。