来し方を振り返る年
今年は、どういうわけか、昔行ったことのある土地へ郷愁の旅をする機会があった。いわば、思い出の各地めぐりである。春に恩師が亡くなり、喪に服す思いがあり、また、あるセミナーの講師活動もいったん区切りがつき、時間的な余裕ができていた。
インプラントのセミナーと学会の関係で、高校を卒業し大学受験のために過
ごした大阪と京都の予備校時代の思い出の地、茨木と四条大宮〜二条城前。久
々の京都観光もすることができ、やはりあの金閣寺の美しさは、古都の美の象
徴であり、清水の舞台は、飛び降りる勇気はないが、すばらしい景観に心が洗
われる。
また、お世話になった先輩の予期せぬ死で札幌へ。涙涙のその葬儀会場は、大
学に入学当初、居を構えた駅の近くであった。そして、秋田では、実家のあっ
た大森町、父の墓参りに雄物川町へ、そこから浅舞で高校時代の恩師に十数年
ぶりに会うことができた。今や教育長となったその恩師、相変わらず人間とし
てのスケールの大きさには敬服し、憧憬の思いを持つ。さらに、懐かしの横手
高校へと足を伸ばし、今も昔とそれほど変わらぬ校舎を見てきた。札幌へは、
後日またインプラント学会のために行くこととなり、そこでは、私が卒後勤務
し18年前に退職をした日之出歯科に現在在籍中の衛生士さんとあって食事をす
る機会があったり、20年近くご無沙汰していた大学の友人と飲むこともでき
た。時を経ても、昨日別れたばかりのように時を忘れ、仲間は暖かく迎えてく
れた。仙台では、東北支部の北海道大学歯学部の同窓会のために足を運び、固
い絆の同窓の仲間たちと語る機会があった。(ちなみに、私の大学時代の教授
はと言えば、ほとんどがご逝去された。)これで、終わりと思いきや、いまマ
スコミに登場して世間で有名と聞く3Mix-MP法という虫歯治療のセミナーに急
遽名古屋へと飛んだ。そのやり方は、確かに優れており、これから数ヶ月、準
備をしながら、当診療所に定着させる予定である。ちなみに名古屋は、その
日、日本シリーズの開幕戦で異様な盛り上がりを見せており、18年前に訪れた
ときも、ちょうどセリーグで中日が優勝した時であった。そして、つい先日
は、高校時代の無二の友人を訪ねて、湯沢〜雄勝へ向かい、病院経営をしてい
るその友人と飲む機会もあった。お互い医療に関わる立場となっていることも
あり、何の気兼ねも不要で、話は尽きなかった。
幼少から高校、予備校浪人時代、大学、卒後勤務、開業、開業後の学会や勉
強会で訪れた土地など再び、三度と行く機会ができたのだった。いわば、自分
の人生の来し方を振り返る旅の連続であった。そして、胸によぎるのは、「光
陰矢のごとし=Time flies like an arrow」という高校の英語の先生が教えて
くれたことわざである。この前、アルヴェで開催していた「相田みつお展」に
行き〜心に響く言葉たち〜の実物の迫力に触れることができた。人生の道はじ
ぶんでつくる…、という有名な言葉がある。このようにして、今年は、自分の
創った道を振り返り、これからの生き方を深く考える節目の年となったのでし
た。
最後まで、このきわめて私的なお話をお読みいただいた皆様に深く感謝申し
上げます。