Tek(仮歯)を作製、装着するということ
現在、患者さんの中には最終的な冠せ物が入るまでの間、仮歯を入れられる方がいると思います。冠せ物が入るまで、短い方だと一週間、長い方だと数ヶ月の間、日常生活を仮歯を入れて生活していただくことになります。仮歯のことを専門用語では、Tek(テック)と呼びます。仮歯を入れる理由として次のことがあげられます。(1)審美的改善(見た目)(2)咬合の回復(咬めるようにする)(3)歯のてい出、傾斜の防止(隣りに歯がないと移動するため、それを防ぐ)(4)シミュレーションなど・・・。そういったことを念頭に置いて、微調整しながら、ユニットサイドで、仮歯を作っていきます。以前アシストについた患者さんで、上の前歯一本、仮歯が入っている方がいました。よく見ると、そこだけ一本が妙に飛び出しており、形もいびつだったため、修正させてもらったことがありました。その後、患者さんに鏡で確認していただくと、「いくら仮歯だとはいえ、出っ歯になっていて人前で口を開けられないし、すごいストレスで我慢の限界だった。直してくれてありがとう。」と言われました。私はその時、複雑な気持ちになりました。本来、仮歯を入れ、審美的な改善をするはずが、逆に不快感を与えてしまっていたのです。今後、このようなことがないように、技術的なレベルアップも必要ですし、その前に仮歯は何の為に入れる物なのかを考えて作製、装着することが大切であると感じました。(Y)