お子様の歯並びを美しく
最近、診療中に「乳歯から永久歯に生えかわった時期の歯並びが悪くて」といったご相談を受けることが何度かありました。今回は、それについて解説します。
前歯の永久歯が生えてくるのは、6歳前後であり、最初に下の真ん中の乳歯から永久歯に生えかわる。それから、下の隣の乳歯、上の真ん中の乳歯、次に上の隣の乳歯の順番で永久歯に生えかわるのが、標準的である。
〈1.下の前歯が出てきた時〉
(a)よくあるのが、裏の方(舌の方)から生えてきたケース。この場合、時間と共に舌の力で、前方に押されて徐々に前に出てきます。
(b)斜めにまがって生えてきたケース。どうしてこうなるかというと、あごの大きさと歯の大きさが合わないからなのです。成長すると、ある程度なおりますが、多くの場合、大人になってもガタガタとまがって並んでしまいます。
〈2.上の前歯が出てきた時〉
(a)よくあるのが、2本の前歯の間が空いてしまっているケース。多くの場合、その隣の歯が生えてくると、徐々に隙間が閉じて来ますが、隙間が大きすぎたり、他の原因があるケースでは、隙間が残ってしまいます。
(b)上と下の前歯の前後関係が逆になってしまったケース。反対咬合とか、受け口という表現もあります。この場合は、成長してもほとんどなおりません。それどころか、放っておくと、本当は、骨には異常がないはずなのに、成長により骨ごと下あごが前に出てしまう骨格的な反対咬合という重症例となってしまいます。
[治療方法]
小学校1年生から小学校5年生くらいの学年が、こうした状況になる年齢です。生えたての永久歯を簡単になおすことは、できません。先ほど述べたように、ある程度成長によりなおることもあるので、通常は、上下各4本ずつ歯が生えてくるまで、経過観察をして、成長を待ちます。その間は、X線写真を撮影して永久歯の歯根の成長をチェックし、歯型をとって模型を製作し歯並びの変化をチェックしたりします。
その後、治療は1期治療と2期治療の二つに時期を区切って行います。上下各4本の歯が生えたら、1期治療を行います。前歯部を正しい噛み合わせになおし、同時に上・下あごの正しい成長をうながすもので約1年半(月1回の通院)の治療期間となります。ご注意して欲しいことは、例えば、「1本の治療だから、ちょっとした装置でそこだけなおせばいいだろう」というのは大間違いです。次から次へ歯が生えかわり、1本のつもりでいたら、結局なおらなかった、なんてことになりかねません。だから、4本の前歯とあごの骨をまとめてなおしてしまうのが最良の治療方法なのです。1期治療を終えたら、いったん治療装置をはずし、すべての永久歯が生えそろうのを待ち、その時に、まだ、歯並びが悪いところがあれば、2期治療を行うことになります。
お子様の歯並びのことが気になる方は、どうぞご相談ください。