メガネの王様
どうにも格好が悪い。都内で、目的地までどういったらいいのかと考えながら、一生懸命に案内図をチェックして見ると、思わず、メガネを外さないとうまくない。メガネのままだと、良く読めないことに気づいたのが、ここ1〜2年のこと。近視に乱視もあって、メガネが欠かせないのに、その上、なんと老眼か?う〜ん…、寄る年波には、勝てないということか!
それでも、どうにか、日常の生活には、支障なく過ごしていたのですが、ある日、ふと眼鏡屋さんに立ち寄った時のこと。店内の掲示物に、メガネの種類について解説があるではないか。現代の科学は進歩しており(私が無知だっただけ?)昔から、遠近両用メガネというものがあることは知っていたが、今は、近距離専用、近距離とその周囲の近近用、周辺と日常距離の通常用、そしていわゆる遠近両用と、大きく分けて4種類もあるのでした。しかも、レンズは、きれいな一枚レンズがグラデーションで、切れ目なく仕上がってくると言う。すばらしい!と 思うのは、私だけでしょうか。
そこで、かかりつけ眼鏡屋さんに相談し、さっそく、近近用メガネを特殊デスクワーク用につくってみました。メガネを外さずに作業ができるというメリットを享受しつつ、とは言え、少し遠くなると見えないというジレンマも発生。そうしてみると、人間の生まれ持った自然調節のきく目というのは、本当に良くできているのだなあと、しみじみ思う次第です。
さて、診療では、近距離に特化したメガネの登場です。拡大鏡(ルーペ)と顕微鏡(マイクロスコープ)です。拡大鏡は、度入りのメガネに組み込んで、作業距離40cm、2.8倍。40cm以上離れたお口の中以外の周辺は、見えません。これを使い出したら、止められません。ともかくよく見えるので、今まで以上に良い診療を提供できるようになったのです。さらに精密診療には、メガネの王様(?)顕微鏡の登場です。といっても、学校の理科の実験で使う顕微鏡を想像してはいけません。決して倍率400倍にはなりません。およそ3倍から20倍くらいに拡大します。どちらかといえば、双眼鏡といったほうがイメージに近いかも知れません。この顕微鏡は、歯科診療に革命をもたらしています。米粒のような大きさのものが、おにぎりのような大きさに見えますから、細かい作業が抜群に上手くいくのです。また、どんなに良いメガネをしても人の目は、暗いところでは物が良く見えません。顕微鏡は、見る方向に向けて強烈に明るいライトを発しているので、奥底まで、ものすごく良く見えるようになっているのです。
このメガネの王様、顕微鏡は、まさに、当クリニックに王様のように君臨しています。背も1m70cmくらいあり土台もしっかりしており、揺るぎないものになっています。しかし、これを使いこなすには、歯科医師、それにアシスタントも、かなりの修練が必要です。ちまたの歯科クリニックでは、怠け者の王様になってしまい、鎮座し動かず、何もしないといううわさも聞きます。当クリニックでは、そんなことの無いように、休む間もなく働く王様としてがんばってもらっています。