2008年米国歯内療法学会年次総会
ブ〜ンとうなるようなプロペラ音が、朝7時ちょうどにホテルの部屋まで響いてくる。朝一番の水上飛行機が飛び立つ時間である。ホテルの部屋からコンベンションセンターを見下ろし、広がる湾岸は、水上飛行場となっていた。その海上には、なんとガソリンスタンド(と思われる)もあるではないか!
この光景は、4月9日から開催された米国歯内療法学会(AAE)の会場となったバンクーバーでのことである。今年は、どういうわけかカナダで行われたのですが、カナダは、各地を結ぶ交通手段のひとつとして海上滑走路を利用した飛行機が活躍しているとのこと。さすが、広大な国土と雄大な自然に恵まれたカナダらしい話である。
2008年のAAE年次総会は、相変わらず世界的な規模で行われた。
北米の根管治療専門医は、社会的なステイタスが高く、もっとも尊敬する職業のトップ5に入り、歯科学生で根管治療専門医になりたいと思う方は、引く手あまただという。その最大の理由は、自分の歯を守り続けるという国民の意識が高く、そのため、歯を守り・歯を救う根管治療に対する評価がきわめて高いことによる。そして、治療費も高額(もちろん日本のような健康保険の給付はない)で、1本あたりのインプラント(人工歯根)を埋め込む治療と根管治療の治療費では、ほとんど変わりがない。
そうした事情と現代の時代背景があり、本来は相反する治療科目であるはずの「歯を守る根管治療」の分野に、「歯の喪失をおぎなうインプラント治療」が有力な治療オプションとして加わってきた。私としては、以前より根管治療の認定医でありながらも、インプラント治療を積極的に咬合再建に活用してきただけに、自分のやり方に間違いのなかったことが確認できた思いであった。
そして、今回のAAEに参加した最大の理由であり、ハイライトとなったのが二つ。ハーバード大学ショーファー教授による根管内洗浄のニューテクニック(EndoVac)のハンズオンコース(実習会)の受講と恩師であるスティーブ・セニア先生からの新しい根管治療器具(LightSpeed・LSX)の使用方法の個人レッスンであった。いや〜、実によい勉強になりました。
最終日の夜には、恒例のプレジデント・ディナー・パーティが行われた。日本からの参加者は、私たちの一行6名と大学から3名など、残念ながら今までになく寂しい状況であった。それにしても、1,000人が参加する巨大なパーティは、米国で人気のコメディアンを起用したエンターティメントショーとなったのでした。
最後に、このAAEに際し、ツアーを企画統括していただき添乗までしていただいた近代旅行のSさん、事前に諸種のセッティングをしていただいたクロスフィールドのKさんと期間中ほぼ通訳としてお手伝いしていただいたNさんに深く感謝を申し上げます。本当に皆様のご協力なくしてはできないAAEツアーでした。ありがとうございます。