本当に抜かなければいけないのでしょうか?

最近の歯科治療では、残せる歯も、さっさと抜いてしまってインプラントにしまたほうがいいですよ、という風潮があります。
インプラント学会やセミナーでも公然と、歯科医師からそういう発言が見られます。

本当でしょうか?

私も、秋田県インプラントセンターでインプラント治療を行っていますが、その前に、とくに根っこの治療(根管治療)の専門家として「歯を残す・歯を救う」という立場をとっています。そうしてみると、本来、歯周治療や根管治療をしっかりとやれば、抜かなくて良い歯まで抜いてインプラント治療をしようとする、現在の歯科界は、とてもおかしいと思うのです。

基本的には、適切な治療をしたら抜かずに済む歯は、歯科医師のつとめとして、全力を尽くして残すべきではないでしょうか?一方で、歯がタテにひびが入ったり割れたりしている場合は、文句なしに抜歯ですが、私が訴えるのは、そうしたケースでない歯まで抜かれることが多いからです。

実は、これは、昔もあったことが、繰り返されているのです。
昭和40年代から、抜いたらブリッジや義歯ということが行われており、歴史的に利益に有利な治療を歯科医師が選択することは、分かり切っていることなのです。それが、現代は、インプラントに置き換わったと言えるでしょう。

それでも、私たちが、インプラント治療を始めた頃は、純真でした。
患者さんが歯の欠損した部分に合わない義歯が入っていたり、まったく咬めなかったりする苦しみや見ばえの悪さ、そして入れ歯を入れるとバネのかかった歯が早期に喪失する現実に対して、何とかしてあげられないかを考えた結果、インプラント治療をしていました。13年前のことでした。だから、残せる歯は、全身全霊をこめて治療してきました。しかも、歯を残す事を追求し、ひたすら勉強し、研鑽を積み、院長 佐藤は根管治療の学会の認定指導医までなったのです。

しかしいまや、平成18年ころから、小泉内閣の医療費削減政策が、とくに歯科医療の保険制度を直撃し、歯科医療費が大きく削減されたところ、歯科医師は、いっせいにインプラントに走り出しました。それまで、インプラントなんて無関心だったり、毛嫌いしていた歯科医師まで、突然インプラントをやり出したのです。さらに、ここぞとばかりにインプラント販売企業が強力な売り込みにでました。その結果が、現在のいわゆる「インプラントバブル」の出現です。利益優先の治療と商業主義の台頭です。また、インプラントをやるためには、歯がないことが条件ですから、じゃまな歯は、抜いてしまった方がいいのです。それを、助長するのが、早期に歯を抜いてインプラントへ、という治療法の普及です。

でも、本当でしょうか?
自分の歯よりインプラントが良いのでしょうか?
そんなに、簡単にしっかりした自分の歯を抜いてまでインプラントにした方がいいのでしょうか?その上、インプラントという治療法は、それほど簡単でも安全でもありません。患者さんに、それらの説明は十分になされているのでしょうか?患者さんの期待通りに行かないばかりか、かえって、具合の悪い状況となることも少なくなく、いまや、もっとも訴訟になることの多い治療となっています。利益優先ゆえのインプラントを行うあまり、重要な話をしない、説明不足、果ては、貧困な治療設備や劣悪な治療環境で行われるインプラントには、大きなリスクを感じます。少なくとも、インプラントを適切に行うための手術環境の整備、例えば、当クリニックのような無菌的かつゴミすらない手術室があるのが理想的です。

インプラントは、歯の欠損部に対しては、とても良い治療方法です。そういう意味で、私は、インプラント積極派ですが、抜かなくて良い歯まで抜くことには、同意しません。

トップページの内容に戻りますが、
抜かなくても良い歯が抜かれる場合、根っこの治療(根管治療)の分野で話をすると、いくつかのパターンがあります。

歯科医師の心理によるもの
  • 根っこの治療が面倒だから抜いた方がいい
  • 根っこの治療は、保険治療で不採算なのでやりたくない
治療の技術と難度によるもの
  • 根っこの形態が複雑すぎて治癒に導けない
  • 以前の根っこの治療の具合が悪くて再治療がうまくできない
  • そもそも技術的に未熟で根っこの治療が下手
病状によるもの
  • 根っこの先に膿の袋ができている
  • 歯の根っこ3分の1以下しか残らない
  • 歯が割れている(ひび割れがはいっている)

この中で、本当に抜かなければいけないのは、最後の二つです。

とくに、当クリニックでは、マイクロスコープ(治療用顕微鏡)を設置し、いままで治癒の難しかった歯も治療できるようになっています。根っこの治療は、通常の根管治療の他に、外科的な手術によって悪い部分だけを切除する治療方法もあります。しかし、その治療は、きわめて難しく、どこでもうまくできるわけではありませんし、マイクロスコープ(治療用顕微鏡)なくしてできないことも多々あります。また、根っこの治療は、あまりにも難しい治療にもかかわらず、保険制度の制約があるため、きちんとした根管治療ができず、実際にX線写真を見ると80%以上が不良な治療となっていることが指摘されています。その結果、抜歯となってしまう歯もたくさんあります。

もし、ここまで読んで、根っこの治療にご興味のある方は、当クリニック受付またはお電話にてお知らせください。「歯の根っこの治療のお話」の資料を差し上げます。

さらに、ご自分のことがご心配な方は、当クリニックでセカンドオピニオンも受け付けております。また、本当に歯を抜かなければいけないかどうかは、最終的に歯科用CTを撮影したり、実際にその歯を、マイクロスコープ(治療用顕微鏡)で大きく拡大して見てみないとわからないこともあります。そうした点も含めて、徹底的に現在のご自分のお口の中の状況をお知りになりたい方は、当クリニックにて歯科用CT撮影をおすすめしております。